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技術記事2026-09-12

G1の箱搬送、摩擦を下げるとどうなるか

独自工場のIsaac Sim環境で、G1が1kgの箱を持ち上げ、運び、置く動作を検証しました。元の摩擦条件では完了しましたが、摩擦を下げた4条件では持上げに失敗しました。成功と失敗を、両方の映像で紹介します。

前回の平地での検証に続き、今回はIsaac Simへの移植と接触条件の比較です。各条件は同じ初期配置で1試行ずつ。実機での搬送を実証したものではありません。

工場内で運べた条件

公開済みのHAIC学習済み方策と参照動作を使い、Isaac Sim 5.1・Isaac Lab 2.3で物理試験を行いました。ロボットの衝突を特定の接触部位だけに限定せず、元モデルの全身衝突を有効にしています。

元条件では、持上げ、搬送、設置、手離れを含む10項目の判定に合格しました。箱底の最大高さは約65cm、最終位置の誤差は約9mmです。

元条件:箱とロボットの実効摩擦係数0.75。11.20秒、25fpsの等倍映像です。

摩擦を下げると、持ち上がらない

箱の摩擦設定を変更し、方策、箱の重量、初期配置、足と床の材質は維持しました。実効摩擦係数0.4以下の4条件では、箱を十分に持ち上げられず、ロボットの転倒判定で終了しました。

実効摩擦係数0.40の例。転倒判定は腰部の高さが35cm未満になった時点で打ち切るため、完全に倒れ切るまでの映像ではありません。動画は1.72秒で、1.74秒の試験記録の末尾20ミリ秒は含みません。

箱とロボットの実効摩擦係数結果試験終了時刻
0.75(元条件)搬送・設置・手離れまで合格11.20秒
0.40持上げ未達・転倒判定1.74秒
0.20持上げ未達・転倒判定1.68秒
0.05持上げ未達・転倒判定5.52秒
0持上げ未達・転倒判定3.44秒

摩擦0では箱が床を滑って移動しました。移動距離だけで成功とせず、持上げ、設置位置、静止、手離れを確認しています。

設定値と、接触時の摩擦は違う

元条件は箱の摩擦係数が1.0、ロボット側が0.5です。PhysXの平均合成により、接触の実効値は0.75になります。比較条件では箱側の合成を最小値に変更しました。箱の設定値だけでは、接触時の摩擦を説明できません。

また、箱と床の摩擦も同時に変わっています。手と箱の摩擦だけを分離した試験ではありません。各条件1試行なので、失敗する摩擦の境界や一般的な成功率を求めた結果でもありません。

今回確認した範囲

当社が追加のテレオペ収集や再学習を行ったものではありません。元の学習に人間由来のデータがない、という意味でもありません。方策は参照動作とシミュレーション内の状態情報を使い、カメラで箱を認識して取りに行く方式ではありません。

掲載動画は、物理試験で保存した姿勢を25fpsで再描画した等倍映像です。動画表示のための姿勢再生と、試験中の学習済み方策による制御は区別しています。

箱は1kgの剛体で、手や前腕の衝突形状は簡略化しています。可動する5指ハンド、2kgの箱、実段ボールの摩擦や変形は未検証です。摩擦値も実物で測って合わせたものではありません。

次は、箱と床の条件を固定したまま手との摩擦を変え、保持姿勢や速度の影響を切り分けます。映像で動くことに加えて、どの条件なら成立するかを確かめていきます。

製造・物流の作業をシミュレーションで検証したい方は、チームゼットへご相談ください。環境構築から公開方策の組み込み、評価と失敗分析まで取り組んでいます。

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