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技術記事2026-09-09

G1のバルブ操作に向けた物理シミュレーション検証

今回はシミュレーションでの基礎検証です。実機での操作や、実際のバルブを開閉できることを確認したものではありません。

G1が両手でハンドルを回す動作に、戻す方向の負荷を加えて検証しました。Isaac Sim上で0〜0.6Nmの4条件を比較し、0.6Nm条件では45.88度まで回転。停止後も負荷をかけ続け、両手の接触と立位を確認しました。

映像はシミュレーション・等倍速・固定カメラです。50秒試験の18〜50秒を抜粋しています。実機での操作は未検証です。

負荷をかけても保持できるか

開く方向と逆向きに、既知のトルクを与えています。回転開始後1秒で指定値まで立ち上げ、その後は停止中も一定に保ちます。目標は45度、許容差は±5度。最後の2秒で角速度と両手の接触も確認しました。

逆向きの負荷最終回転角回転・保持の基準
0.0Nm45.47度成立
0.1Nm45.65度成立
0.3Nm45.40度成立
0.6Nm45.88度成立

各条件1試行の基礎検証です。回転・保持とは別に、正面からの向きを15度以内とする基準も設けています。4条件でこの基準が未達となり、姿勢制御には改善が残ります。

見た目と接触形状を合わせる

最初の接触形状は角形の部品を円状に並べたもので、丸い見た目との間に最大約5.8mmの断面差がありました。今回は丸いカプセル形状を32個つないだ近似へ変更しています。輪の質量は0.5kg、接触の摩擦係数は0.5です。これらは試験設定であり、特定の実製品の仕様値ではありません。

速度に応じて抵抗を切り替える初回モデルには、低速で数値的な揺れが生じる条件も見つかりました。その結果は採用せず、表には修正後の一定負荷の試験だけを載せています。

滑りも計測する

指と輪の接触点で、それぞれの速度の差を計算しました。0.6Nm条件の回転中、接触点の滑り速度指標の中央値は11.0mm/秒、終端2秒では20.2mm/秒でした。微振動も含む相対速度で、同じ点がその距離だけずれ続けたことを示す値ではありません。接触が続いていても、滑りがゼロとは限りません。

同じ区間で、接触力から求めた軸まわりのトルクは平均0.60Nm。負荷、回転、接触をまとめて記録することで、映像だけでは分からない挙動を確認しています。回転区間は開始1〜10秒、接触点は法線力0.2N超を集計しています。

今回は戻す方向の一定負荷を与えた試験です。実際の弁の固着や流体圧、シール摩擦まで再現したものではありません。両腕はスクリプト制御、下半身はUnitreeの公開学習済み方策を使用し、新たなACT・強化学習は行っていません。

実機検証に向けた次の段階

今回を基礎検証として公開し、次版では、借用予定の実機の条件に合わせたシミュレーションへ進む計画です。シミュレーションでの成功は実機での成功を保証するものではなく、実機試験の条件を絞るために使います。以下は今後の計画で、今回実施した検証には含まれません。

1. 実機とバルブの条件を合わせる

借りるG1のハンドを決め、バルブの寸法・取付高さ・回し始めと回転中の必要トルクを確認します。今の0〜0.6Nmは試験用に設定した値なので、実物の計測値へ置き換えます。

2. 滑りと姿勢の課題を改善する

手を決めた軌道に動かす制御から、接触状態や力に応じて動きを補正する制御へ進めます。現在の滑りと、正面を保つ基準の未達を先に解消します。

3. 条件がずれても成立するか試す

バルブの位置、摩擦、抵抗、制御の遅れなどを変え、成功する範囲と停止すべき条件を調べます。実機で取得できる情報に制御の入力をそろえることも必要です。

4. 実機で小さく照合する

試験用バルブで、接触、保持、小角度の回転と進め、シミュレーションとの差を測ってモデルを修正します。

最初から全身を新しく強化学習する方針ではありません。まず実機条件と接触制御を詰め、既存の姿勢制御では支えきれないと分かった段階で、全身制御の学習を検討します。

次版では、実物の条件をどこまで反映し、どの範囲で操作できたかを示す予定です。チームゼットでは、工場設備のシミュレーション構築からロボットの接触・動作検証まで取り組んでいます。実機への適用に向けた事前検証もご相談ください。

技術:Unitree G1 / Dex3、NVIDIA Isaac Sim 5.1.0・Isaac Lab 2.3.0、Blender、スクリプトIK・接触計測。

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