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技術記事2026-09-10

G1を速く動かすと、Visual SLAMはどこまで追えるか

自社研究・Isaac Simによるシミュレーション検証。実機・自律走行の完成実証ではありません。

前回のG1の移動比較には、「走るというより早歩きに見える」という指摘がありました。そこで今回は前進指令を2m/sから3.3m/sに変え、真横から足運びを撮影しました。動いている間のカメラ画像とIMUも記録し、位置推定がどこまで追えるかを調べています。

Isaac Sim上では、別々に起動した2回とも30秒間転倒せず、開始3秒以降の平均前進速度は3.23m/sでした。一方、位置推定は出力が途切れなくても、終点で最大11.25mずれました。

試行1の等倍速動画

試行2の等倍速動画

今回、変えたこと

使ったのは、Chasing Autonomyの公開済み制御モデルです。今回新しく学習したモデルではありません。同じモデルに与える前進指令を変え、撮影を真横・50fpsにしました。比較用に2m/sの条件も同じ角度で記録しています。

足の接触力と姿勢は200Hzで保存しました。両足の接触力がともに0.5N未満となる区間の割合は、2m/sの12秒試験で23.04%、3.3m/sの30秒試験で33.25%。区間の中央値はそれぞれ70ms、100msでした。1N、5Nに閾値を変えても、今回の結果は同じです。

数値だけで見た目の完成を決めず、等倍速の映像も一緒に載せます。今回も走行中の姿勢・速度から開始しており、静止からの発進や停止は検証していません。

位置は出る。でも、合っているとは限らない

胴体に固定した仮想ステレオカメラは848×480、25Hz、左右の間隔は5cm。IMUは200Hzです。まず理想センサーの条件で記録し、同じ記録を画像のみと画像+IMUの2通りで処理しました。

30秒間のカメラ軌跡は約98.73m。2試行とも、両方式で750フレームすべてに位置が出力されました。ただし、シミュレーターの正解位置と比べると差があります。

試行入力位置誤差のRMSE終点の位置誤差
1ステレオ画像0.93m2.30m
1ステレオ画像+IMU2.00m3.48m
2ステレオ画像4.44m7.51m
2ステレオ画像+IMU7.44m11.25m

RMSEは、評価区間全体の位置誤差を二乗平均平方根でまとめた値です。最初の有効な推定姿勢だけで座標を合わせ、軌跡全体を後からフィットしたり、縮尺を補正したりしていません。

動画の白線が正解、緑が画像のみ、青がIMU併用です。橙は開始3秒後から新しく追跡した結果で、約89.08mの短い区間です。評価距離が違うため、全区間と単純な改善率では比較できません。2回目も掲載し、良かった試行だけを選んでいません。

IMUを足せば解決する、とは言えなかった

今回の全区間評価では、2試行ともIMU併用のほうが誤差が大きくなりました。これだけでIMUが不要とは判断できません。時刻や校正、初期化の影響を切り分ける必要があります。

また、2回のロボットの位置・速度・接触力ログは一致しましたが、位置推定の結果には差が出ました。描画される画像の違いと推定器側の変動は、まだ分離できていません。次は同じ画像を繰り返し処理する試験から確認します。倉庫は反復アセットで構成しており、継ぎ目付近の見え方も確認対象です。

今回確認できた範囲

今回は、移動中に記録した画像・IMUから位置を推定する、オフラインのVO/VIO検証です。推定した位置でG1の進路を制御した実験ではありません。通路に沿わせる補正にはシミュレーターの位置・向きを使用しています。

地図への再定位やループ閉じ込み、実機のカメラノイズ、静止からの発進・停止も今回の評価対象外です。走行の継続と、自律移動に使える位置精度を分けて確認していきます。

チームゼットでは、公開モデルを動かすだけでなく、実装・計測・失敗の切り分けまで含めたフィジカルAIの技術検証に取り組んでいます。PoC・技術検証のご相談はこちらから。

参照・検証記録

Chasing Autonomy 論文

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