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技術記事 · 2026.09.06 · シミュレーション検証

Isaac SimのG1がカタカタ歩く。4構成を比較して歩行を改善した記録

Isaac SimでG1を歩かせたところ、前には進むものの、脚が細かくカタカタしていました。速度指令を滑らかにし、追従カメラも調整しましたが、歩き方への違和感は残りました。

そこで関節の動きを記録し、4つの構成を比較しました。最終的にUnitreeの対応するロボットモデルと歩行ポリシーへ切り替え、脚関節の高周波変動は旧構成比で45.6%低減しました。まず動画をご覧ください。

左:旧モデル・学習環境。右:Unitreeの対応モデル+ポリシー。12秒・50 fps、シミュレーション時間に対して等倍速。映像補間なし。カメラ位置と注視点は同じですが、モデル寸法と描画経路・画角は同一ではありません。

速度指令を滑らかにするだけでは足りなかった

進行方向や速度の指令が急に変われば、ロボットの動きも急になります。ただ、今回の問題は一定速度を指示している間にも残っていました。カメラの揺れと、関節そのものの細かな運動を分けて調べる必要がありました。

まず実行設定を読み直すと、旧デモは学習用の環境で動いており、ポリシーに渡す観測へ人工ノイズが入っていました。評価用のPLAY環境に切り替えると改善はありましたが、それだけでは十分ではありませんでした。

一方、旧モデルの関節設定や制御周期は、保存された学習設定と一致していました。「周期が合っていなかったから」とは説明できません。学習反復数にも違いはありましたが、今回は反復数だけを変える実験をしていないため、原因とは断定していません。

4構成を、同じ速度指令で比較する

各試験は12秒。最初の2秒は静止し、1秒かけて前進指令を0.5 m/sへ上げ、その後は一定にしました。物理計算は200 Hz、ポリシーの更新は50 Hzです。始動の影響を避け、4〜11秒の股・膝・足首に相当する12関節を評価しました。

平地試験の結果(各構成1試行)
構成関節加速度RMS(rad/s²)6 Hz超の関節角変動RMS(rad)実前進速度(m/s)
旧モデル・学習環境86.250.019730.351
旧モデル・PLAY環境71.750.017990.297
Isaac Lab配布用キャッシュ・PLAY環境78.470.021540.392
Unitreeの対応モデル+ポリシー47.920.010740.568

新構成では、旧モデル・学習環境に比べて関節加速度RMSが44.4%、6 Hz超の関節角変動RMSが45.6%低くなりました。後者は関節角へ4次のButterworthハイパスフィルターを往復適用し、時間と関節をまとめてRMSを計算しています。

ただし、同じなのは速度の指令値です。実際の前進速度は構成ごとに異なります。さらにロボットモデルとポリシーを一緒に変えているので、片方だけの効果を証明する比較ではありません。この数値も歩容の自然さ全体を採点するものではなく、細かな振動を確認するための指標です。

モデルとポリシーを、対応する組み合わせで動かす

採用したのは、Unitree公開リポジトリのG129_CFG_WITH_DEX3_WHOLEBODYと、対応するpolicy.onnxです。メーカー実装の観測履歴、関節順序、推論、関節目標への変換を再利用しました。通信部分をローカルの速度指令へ置き換え、シミュレータ内で評価しています。

新しく歩行ポリシーを学習した結果ではありません。公開済みのモデルとポリシーを組み込み、既存構成と比較した結果です。使用したUnitreeの版は e30c25b1dffdf92ada1d6c8c1fe9a47bdde0fecc、実行環境はIsaac Sim 5.1、ONNX Runtime 1.22.1です。

倉庫シーンでも15秒間歩行を確認

NVIDIAのSimple Warehouseシーンでの定速歩行試験。15秒・50 fps・等倍速。自律経路走行の動画ではありません。

倉庫シーンでも転倒せず15秒間歩き、6 Hz超の関節角変動RMSは0.01067 radでした。ただ、横方向へのドリフトは残っています。一定指令で歩けることと、狙った場所まで到達できることは別に検証する必要があります。

今回できたことと、次に確かめること

続編:この歩行構成にVisual SLAMを接続し、地図生成と別走行での再定位を検証しました。以下は歩行改善時点の記録です。

今回確認できたのは、シミュレーション上での歩行改善です。実機での再現は未検証で、新しい歩行構成へのVisual SLAM接続、地図構築・再局在化も未完了です。Unitreeの公開資料でも、同梱の重みはシミュレーション試験用とされています。

次はこの歩行構成にカメラとIMUの記録を接続し、自己位置推定の精度と経路追従を評価します。歩行の見た目、関節の振動、自己位置推定、目的地への到達をそれぞれ記録していきます。

今回の切り分けで役立ったのは、指令を調整し続ける前に、評価環境と生の関節運動を確認したことでした。動いた動画に加えて、何を変え、何が改善し、何が残ったかを記録しておくと、次の検証を進めやすくなります。

使用した公開資料

Unitree公式:unitree_sim_isaaclab(使用コミット)。本記事の数値と動画はチームゼットによる2026年9月6日の試験結果です。

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